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調べになってたのかどうかはわかりませんけど、何日か前に先生は図書館に電話しておられましたよ」常磐はいった。
「図書館 大学の」
常磐は背いた。
「新聞があるかどうか、問い合わせておられたようでした」
「新聞 図書館なんだから、新聞ぐらいは置いてるだろ」
「まあそうなんですが、古い新聞をどの程度保管しているのか、湯川先生は知りたかったみたいですよ」
「古い新聞か」
「といっても、そんなに前の新聞のことではなかったようです。今月分の新聞は全部すぐに読めますか、というような訊き方をされてたと思います」
「今月分ねえ。それでどうなのかな。読めたのかな」
「図書館に置いてあったんだと思います。それからすぐに先生は図書館に行かれたようですから」
草薙は頷くと常磐に礼をいい、まだコーヒーが半分近く残っている紙コップを手に立ち上がった。
帝都大学の図書館は三階建ての小さな建物だ。草薙は自分がこの大学の学生だった頃、ほんの二、三度しか図書館を訪れたことがない。だから補修工事がなされたことがあるのかどうかもよくわからなかった。彼の目には、まだ新しい建物に見えた。
中に入ってすぐのカウンターに係の女性がいたので、彼は湯川助教授が新聞を調べていた件について尋ねてみた。彼女は不審そうな顔をした。
草薙は仕方なく警察手帳を出した。
「湯川先生がどうとかじゃないんです。ただ、その時にどんな記事をお読みになっていたかを知りたいだけなんです」不自然な質問の仕方だと思ったが、それ以外の表現を思いつかなかった。
「三月中の記事を読みたいのだけど、ということだったと思います」係の女性は憤重な口調でいった。
「三月中の、どんな記事ですか」
「さあ、それはちょっと」そういってから彼女は、何かを思い出したように軽く口を開けた。
「社会面だけでもいい、とおっしゃったように思います」
「社会面 ええと、それで新聞はどこに」
こちらへどうぞ、と彼女が案内してくれたのは、平たい棚の並んでいるところだった。その棚の中に、新聞が重ねて収められている。十日ごとに入れてある、と彼女はいった。
「こちらでは過去一か月分の新聞しかありません。それより古いものは処分するんです。前は保管していたんですけど、今はインターネットの検索サービスなんかで、過去の記事は読めますから」
「湯川は湯川先生は一か月分でいいとおっしゃったんですね」
「ええ。三月十日以降でいいと」
「三月十日」
「はい。たしか、そうだったと思います」
「この新聞、見せてもらっていいですか」
「どうぞ。終わったら声をかけてください」
係の女性が背中を向けると同時に、草薙は新聞の束を引き出し、そばのテーブルに置いた。三月十日の社会面から見ていくことにした。
三月十日は、いうまでもなく富樫慎
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