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のベンチで」そういって湯川はそばの小さな公園を指差した。高速道路の下のスペースが、公園に利用されているのだ。
口調は穏やかだが、その態度には有無をいわせぬ真剣さが漂っていた。何か重要なことを話すつもりなのだと靖子は直感した。この大学の助教授だという男は、以前会った時にも、軽口を叩くような調子で、じつは大きな圧力を彼女にかけてきた。
逃げだしたい、というのが本音だった。しかし、どんな話をするつもりなのかも気になった。その内容は石神のことに違いなかった。
「じゃあ、十分だけ」
「よかった」湯川はにっこりと微笑み、率先して公園に入っていった。
靖子が躊躇っていると、「どうぞ」と草薙が促すように手を伸ばした。彼女は頷き、湯川に続いた。この刑事が黙っているのも不気味だった。
二人掛けのベンチに湯川は腰を下ろしていた。靖子が座る場所は空けてくれている。
「君はそこにいてくれ」湯川が草薙にいった。「二人だけで話をするから」
草薙は少し不満そうな顔をしたが、顎を一度突き出すと、公園の入り口付近まで戻り、煙草を取り出した。
靖子は草薙のほうを少し気にしながら湯川の隣に座った。
「あの方、刑事さんでしょう いいんですか」
「構いませんよ。本来僕が一人で来るつもりだったのです。それに彼は、僕にとっては刑事である以前に友人です」
「友人」
「大学時代の仲間です」そういって湯川は白い歯を覗かせた。「だから石神とも同窓生ということになる。もっとも彼等二人は、今度のことがあるまで一面識もなかったらしいですが」
そういうことだったのかと靖子は合点した。なぜこの助教授が事件を機に石神に会いに来たのか、今ひとつよくわからなかったのだ。
石神は何も教えてくれなかったが、彼の計画が破綻したのは、この湯川という人物が絡んできたからではないかと靖子は考えていた。刑事が同じ大学の出身で、しかも共通の友人を持っていたことなど、彼の計算外のことだったのだろう。
それにしてもこの男は、一体何を話すつもりなのか――。
「石神の自首は誠に残念です」湯川がいきなり核心に触れてきた。「あれほどの才能を持った男が、今後刑務所の中でしかあの頭脳を使えないのかと思うと、研究者としてじつに悔しいです。無念です」
靖子はそれに対しては何も答えず、膝に置いた手をぎゅっと握りしめた。
「だけど、僕にはどうしても信じられないんです。彼があんなことをしていたというのがね。あなたに対して」
湯川が自分のほうを向くのを靖子は感じた。身体を固くした。
「あなたに対して、あのような卑劣なことをしていたとは、とても考えられない。いや、信じられないという表現は適切ではないな。もっと強い確信を持っています。信じていない、というベきでしょう。彼は石神は嘘をついています。なぜ嘘をつくのか。殺人犯の汚名を着るのだから、今さら嘘な
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