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「僕が彼に告げたんだよ。トリックを見破ったと。もちろん、彼にだけわかる言い方をした。さっき君にもいった台詞だ。この世に無駄な歯車なんかないし、その使い道を決められるのは歯車自身だけだ。歯車が何を指しているのかは、今の君ならわかるだろ」
「石神にパズルのピースとして使われた、名無しの権兵衛さんか」
「彼のしたことは許されることじゃない。自首して当然だ。僕が歯車の話をしたのも、それを促すためだった。だけどああいう形で自首するとは思わなかった。自分をストーカーに貶おとしめてまで彼女を庇うとは。トリックのもう一つの意味に気づいたのは、そのことを知った時だった」
「富樫慎二の死体はどこにある」
「それはわからない。石神が処分したんだろう。すでにどこかの県警で発見されているかもしれないし、まだ見つかっていないかもしれない」
「県警 うちの管内ではないということか」
「警視庁管内は避けるはずだ。富樫慎二殺害事件と関連づけられたくないだろうから」
「だから図書館で新聞を調べていたのか。身元不明死体が見つかっていないかどうか、確認したんだな」
「僕が調べたかぎりでは、該当する死体は見つかっていないようだ。でもいずれ見つかるだろう。そんな凝こった隠し方はしていないはずだ。仮に見つかったところで、その死体が富樫慎二だと判断される心配はないからね」
早速調べてみよう、と草薙はいった。すると湯川は首を振った。それは困る、約束が違う、というのだった。
「最初にいっただろう。僕は友人としての君に話したわけで、刑事に話したんじゃない。この話に基づいて君が捜査を行うというのなら、今後、友人関係は解消させてもらう」
湯川の目は真剣だった。反論できる気配すら感じさせなかった。
「僕は、彼女に賭けてみようと思う」湯川はそういってべんてん亭を指した。「彼女はたぶん真実を知らない。石神がどれだけの犠牲を払ったかを知らない。それを話してみようと思う。そのうえで彼女の判断を待ちたい。石神は、彼女が何も知らないで、幸せを掴んでくれることを望んでいるだろう。だけど、そんなことは僕には耐えられない。彼女は知っておくべきだと思う」
「話を聞けば、彼女は自首するというのか」
「わからない。僕自身、彼女は自首すべきだと強く思っているわけじゃない。石神のことを思うと、せめて彼女だけでも救ってやりたいような気もする」
「もしいつまで経っても花岡靖子が自首してこないのなら、俺は捜査を始めるしかない。たとえおまえとの友人関係を壊してでも」
「そうだろうな」湯川は頷いた。
花岡靖子に話している友人を眺めながら、草薙はたて続けに煙草を吸った。靖子は項垂れたままで、先程から殆ど姿勢を変えていない。湯川も唇が動いているだけで、表情に変化はなかった。だが二人を囲む空気の緊張感は、草薙のところまで伝わってきた。
湯川が立ち上が
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