第17节(第5/6页)
て、まだハルカのことは話さないほうがいいって石神さんが」
「うん、そうだったね。でも、いよいよ話してもらうことになった」
石神は周囲を気にしながら、花岡美里に細々と指示を与え始めた。
テニスコートの横の空き地から、灰色の煙が立ち上っていた。近づいてみると、白衣姿の湯川が袖まくりをして、一斗缶の中を棒でつついている。煙はその中から出ているようだった。
土を踏む足音で気づいたらしく、湯川が振り向いた。
「君はまるで僕のストーカーのようだな」
「怪しい人間に対しては、刑事はストーカーになるんだよ」
「へええ、僕が怪しいというわけか」湯川は面白そうに目を細めた。「久々に君にしては大胆な発想が生まれたようだな。そういう柔軟さがあれば、もっと出世するだろうさ」
「どうして俺がおまえのことを怪しいと思うのか、その理由を訊かないのか」
「訊く必要がない。いつの世も科学者というのは、人から怪しく思われる存在だからね」なおも一斗缶の中をつついている。
「何を燃やしてるんだ」
「大したものじゃない。不要になったレポートとか資料だ。シュレッダーは信用できないからね」湯川はそばに置いてあったバケツを持ち、中の水を缶に注いだ。しゆーつという音と共に、さらに濃く白い煙が上がった。
「おまえに話がある。刑事として質問させてもらう」
「やけに力んでるな」一斗缶の中の火が消えたことを確認したらしく、湯川はバケツを提げたまま歩きだした。
彼の後を草薙は追った。
「昨日、あれからべんてん亭に行った。あの店でじつに興味深い話を聞いた。知りたくないか」
「別に」
「じゃぁ勝手にしゃべらせてもらう。おまえの親友の石神は、花岡靖子に惚れている」
大股で歩いていた湯川の足が止まった。振り返った彼の眼光は鋭くなっていた。
「弁当屋の人間がそういっているのか」
「まあね。おまえと話しているうちにぴんとくることがあって、べんてん亭で確認を取ったというわけだ。論理も大事かもしれないが、直感も刑事には大きな武器だ」
「それで」湯川が向き直った。「彼が花岡靖子に惚れているとして、そのことが君たちの捜査にどういう影響を与えるのかな」
「この期ごに及んで、そんなふうにとぼけるなよ。おまえだって、どういうきっかけで勘づいたのかは知らんが、石神が花岡靖子の共犯者じゃないかと疑っているからこそ、俺に隠れてこそこそと動き回っているんだろうが」
「こそこそした覚えはないがね」
「とにかく、俺のほうには石神を疑う理由が見つかった。これからは奴を徹底的にマークする。そこで、だ。昨日は袂を分かつことになってしまったが、和平条約を結ばないか。つまり、こちらから情報を提供する代わりに、おまえが掴んでいることも教えてほしい。どうだ。悪くない提案だろ」
「君は僕を買い被っている。僕はまだ何も掴んじ
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