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てきた。「彼が僕の友人だからです。大事な友人だから、何があったのかを知っておきたいんです」
「でもあたしとのやりとりなんて、大したことじゃあ」
「彼にとっては重要だったはずです」湯川はいった。「とても大切なことだったんです。そのことはあなたにもわかるはずです」
真剣な眼差しを見て、靖子はなぜか鳥肌が立つのを覚えた。この男は、石神が彼女に好意を寄せていることを知っているのだと悟った。だから、何がきっかけでそうなったのかを知りたがっているのだ。
そういえば、そのことについて一度も考えたことがなかったことに靖子自身が気づいた。しかし一目惚れされるほどの美貌でないことは彼女が一番よくわかっている。
靖子は首を振っていた。
「特に何も思いつきません。ほんとにあたし、石神さんとは殆ど話をしたことがなくて」
「そうですか。案外、そういうものなのかもしれないな」湯川の口調が幾分柔らかいものになった。「あなたは彼をどう思いますか」
「えっ」
「彼の気持ちに気づいていないわけではないでしょう そのことについて、どう思っておられるんですか」
唐突な質問に彼女は困惑した。笑ってごまかせる雰囲気ではなかった。
「あたしのほうは特に何ともいい人だとは思いますけど。頭もとてもよくて」
「頭がよくて、いい人、だということは御存じなんですね」湯川は足を止めた。
「それは、あの、何となくそんなふうに思っただけです」
「わかりました。お時間をとらせて申し訳ありませんでした」湯川は自転車のハンドルを差し出してきた。
「石神によろしく」
「あ、でも、石神さんに会うかどうかは――」
だが湯川は笑顔で頷くと、くるりと踵を返した。歩き始めた彼の背中に、靖子はいいようのない威圧感を覚えた。
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不機嫌そうな顔が並んでいた。不機嫌を通り越して苦痛の表情を浮かべている者もいる。それすらも越えてしまった者は、お手上げとばかりに諦め顔だ。森岡にいたっては、試験開始から問題用紙を見ようともせず、頬杖をついて窓の外ばかり眺めている。今日は快晴で、町並みの彼方まで青空が広がっている。こんなくだらないことで時間を奪われなければ、思う存分バイクで走り回れるのに、と悔しがっているのかもしれない。
学校は春休みに入っていた。しかし一部の生徒たちには憂鬱な試練が用意されていた。期末試験後に行われた追試験でも合格ラインに達しなかった者が多すぎて、急遽補習授業が行われることになったのだ。石神が受け持っているクラスで補習を受けねばならないのは、ちょうど三十人だった。これは他の科目に比べて異常に多い数字だ。そして補習後に、もう一度試験をする。その再追試の日が今日だった。
試験問題を作っている時、石神は教頭から、あまり問題を難しくしないよう釘を刺されていた。
「こういう言い方はしたくないんだけど、はっきりいって
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