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第21节(第6/6页)

    」

    石神はちらりと湯川を見てから、視線を前に戻した。

    「毎日、あそこで弁当を買っているわけじゃない」

    「そうなのか。僕が聞いたところでは、ほぼ毎日らしいんだが」

    「おまえが俺と例の事件とを結びつける根拠はそれなのか」

    「そのとおり、ともいえるし、少し違うともいえる。君が毎日同じ店で弁当を買ったって何とも思わないが、特定の女性に毎日会いに行っているとなれば、見過ごせない」

    石神は足を止め、湯川を睨みつけた。

    「昔の友人なら、何をいっても構わないと思ってるのか」

    湯川は目をそらさない。石神の視線を真正面から受けとめる目には力が籠もっていた。

    「本当に怒ったのか 心が穏やかでないのはわかるが」

    「馬鹿馬鹿しい」石神は歩きだす。清洲橋が迫ったところで、手前の階段を上がり始めた。

    「死体が見つかった現場から少し離れたところで、被害者のものと思われる衣服が燃やされていた」湯川がついてきながら話し始めた。「一斗缶の中から燃え残りが見つかったんだ。犯人がやったものと思われる。最初にそれを聞いた時、なぜ犯人は完全に燃え尽きるまでそこにいなかったのだろうと思った。草薙たちは、一刻も早くその場を立ち去りたかったのだろうと考えているようだが、それなら、とりあえず持ち去って、後でゆっくりと処分すればいいんじゃないかと思った。それとも犯人は、もっと早く燃え尽きると思ったんだろうか。そんなふうに考え始めると気になって仕方がない。そこで僕は実際に燃やしてみることにした」

    石神はまた足を止めた。

    「服を燃やしたのか」

    「一斗缶の中でね。ジャンパー、セーター、ズボン、靴下ええと、それから下着か。古着屋で買ったんだけど、思わぬ出費だ。数学者と違って、我々は実験しないと気が済まない性格なんだ」

    「それで結果は」

    「有毒ガスを発しながら、じつによく燃えた」湯川はいった。「全部燃えた。あっという間だ。五分とかからなかったかもしれないな」

    「それで」

    「犯人はなぜその五分間を待てなかったんだろう」

    「さあね」石神は階段を上がりきると、清洲橋通りで左に曲がった。べんてん亭とは逆方向だ。