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第23节(第6/6页)

    裏切られる」

    「あの女は花岡靖子は」石神は顎を少し上げて続けた。「私を裏切ったんです。ほかの男と付き合おうとしている。私が元の亭主を始末してやったというのに。彼女から悩みを聞かされていなければ、あんなことはしなかった。彼女は前に話していたんですよ。あんな男、殺してやりたい、とね。私は彼女の代わりに殺したんだ。いわば、彼女だって共犯なんだ。警察は、花岡靖子も逮捕すべきです」

    石神の話の裏づけを取るために、彼の部屋が捜索されることになった。その間草薙は岸谷と共に、花岡靖子から話を聞くことにした。彼女はすでに帰宅していた。美里も一緒だったが、別の刑事が彼女を外に連れ出した。刺激的な話を聞かせたくないからではなく、美里にも事情聴取が行われるのだ。

    石神が出頭したことを知ると、靖子は大きく目を見張り、息を止めた。声を出せないでいた。

    「意外でしたか」草薙は彼女の表情を観察しながら訊いた。

    靖子はまず首を振り、それからようやく口を開いた。

    「思ってもみませんでした。だって、どうしてあの人が富樫を」

    「動機に心当たりはありませんか」

    草薙の問いかけに、靖子は迷うような躊躇うような、複雑な表情を見せた。口に出したくない何かがあるように見えた。

    「石神はあなたのためにやったといっています。あなたのために殺したと」

    靖子は辛そうに眉をひそめ、はあーっと大きく息を吐いた。

    「やはり思い当たることがあるようですね」

    彼女は小さく頷いた。

    「あの人があたしに特別な感情を持っているらしいことはわかっていました。でもまさか、そんなことをするなんて」

    「彼は、あなたとはずっと連絡を取り合っていたというんですがね」

    「あたしが」靖子は表情を険しくした。「そんなことしてません」

    「でも、電話はあったでしょ。しかも毎晩」

    草薙は石神の話を靖子に聞かせた。彼女は顔を歪めた。

    「あの電話をかけてたのは、やっぱりあの人だったんですか」

    「知らなかったんですか」

    「そうじゃないか、と思ったことはありますけど、確信はありませんでした。だって名乗らなかったから」