第2节(第4/6页)
じゃねえか」富樫は図々しく、六畳間の中央に据えられている炬燵こたつに足を入れた。「なんだよ、スイッチが入ってねえぞ」そういうと勝手に電源スイッチを入れた。
「あんたの魂胆はわかってるわよ」靖子は立ったまま富樫を見下ろした。「なんだかんだいってるけど、結局はお金でしょ」
「なんだよ。どういう意味だい」富樫はジャンパーのポケットからセブンスターの箱を出した。使い捨てライターで火をつけてから周辺を見回した。灰皿がないことに気づいたようだ。身体を伸ばし、不燃物用ゴミ袋の中から空き缶を見つけ出すと、それに灰を落とした。
「あたしに金をたかろうとしてるだけでしょってこと。要するにそうなんでしょ」
「まあ、おまえがそう思うってんなら、それでもいいけどさ」
「お金なんて、一円も出さないから」
「ふうんそうかい」
「だから帰って。もう来ないで」
靖子がいい放った時、ドアが勢いよく開き、制服姿の美里が入ってきた。彼女は来客の存在に気づき、一旦立ち尽くした。それから客の正体を知り、怯おびえと失望の混じった表情を浮かべた。
その手からバドミントンのラケットが落ちた。
「美里、久しぶりだな。大きくなったじゃないか」富樫が能天気な声を出した。
美里は靖子をちらりと見ると、運動靴を脱ぎ、無言で部屋に上がってきた。そのまま奥の部屋まで進むと、仕切の襖ふすまをぴったりと閉じた。
富樫がゆっくりと口を開いた。
「おまえがどう思ってるのかは知らないが、俺はただやり直したいだけなんだ。それを頼むのが、そんなに悪いことかね」
「あたしにはそんな気はないといってるでしょ。あんただって、あたしが承知するなんて思っちゃいないでしょ。ただ、あたしにつきまとう理由にしてるだけじゃない」
図星のはずだった。しかし富樫はこれには答えず、テレビのリモコンのスイッチを入れた。アニメ番組が始まった。
靖子は吐息をつき、台所に行った。流し台の横の引き出しに財布を入れてある。そこから一万円札を二枚抜いた。
「これでもう勘弁して」炬燵の上に置いた。
「何だよそれ。金は出さないんじゃなかったのか」
「これが最後よ」
「いらねえよ、そんなもの」
「手ぶらで帰る気はないんでしょ。もっと欲しいんだろうけど、うちだって苦しいんだから」
富樫は二万円を見つめ、それから靖子の顔を眺めた。
「仕方ねえな。じゃあ、帰ってやるよ。いっとくけど、俺は金はいらないっていったんだからな。それをおまえが無理に渡したんだ」
富樫は一万円札をジャンパーのポケットにねじ込んだ。煙草の吸い殻を空き缶の中に放り込み、炬燵から抜け出した。だが玄関には向かわず、奥の部屋に近づいた。襖をいきなり開けた。美里の、ひっという声が聞こえた。
「ちょっとあんた、何やってんのよ」靖子は声を尖とがらせた。
「義理の娘に挨拶ぐ
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