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たしが自首する」
「何を馬鹿なこといってるの」
「だって、最初に殴ったのはあたしだもん。おかあさんはあたしを助けようとしただけだもん。あたしだって途中からおかあさんを手伝ったし、あたしも人殺しだよ」
美里の言葉に、靖子はぎくりとした。その瞬間、電話を持つ手の力が緩んだ。美里はその機を逃さず、電話を奪った。隠すように抱きかかえると、部屋の隅に行き、靖子に背中を向けた。
警察は――靖子は思考を巡らせた。
刑事たちは果たして自分の話を信じてくれるだろうか。自分が一人で富樫を殺したのだという供述に疑問を差し挟んでこないだろうか。何もかも鵜呑うのみにしてくれるだろうか。
警察は徹底的に調べるに違いない。テレビドラマで、「裏づけをとる」という台詞せりふを聞いたことがある。犯人の言葉が真実かどうかを、あらゆる方法を使って確認するのだ。聞き込み、科学捜査、その他諸々――。
目の前が暗くなった。靖子は刑事からどんなに嚇おどされても、美里のやったことをしゃべらない自信はある。しかし刑事たちが突き止めてしまえばおしまいだ。娘だけは見逃してくれと懇願したところで聞き入れられるはずがない。
自分一人で殺したように偽装できないものかと靖子は考えたが、すぐにそれを放棄した。素人が下手な小細工をしたところで、簡単に見破られそうな気がした。
とはいえ、美里だけは守らねばならない、と靖子は思った。自分のような女が母親であるがため、幼い頃から殆どいい思いをしたことがないこのかわいそうな娘だけは、命に替えてもこれ以上不幸にしてはならない。
ではどうすればいいだろう。何かいい方法があるだろうか。
その時だった。美里が抱えていた電話が鳴りだした。美里は大きく目を開けて靖子を見た。
靖子は黙って手を出した。美里は迷った顔をした後、ゆっくりと電話機を差し出した。
呼吸を整えてから、靖子は通話ボタンを押した。
「はい、もしもし、花岡ですけど」
「あの、隣の石神です」
「あ」またあの教師だ。今度は何の用だろう。「何でしょうか」
「いや、あの、どうされるのかなと思いまして」
何を訊かれているのかわからなかった。
「何がですか」
「ですから」石神は少し間を置いてから続けた。「もし警察に届けるということでしたら、何もいいません。でも、もしそのつもりがないのなら、何かお手伝いできることがあるんじゃないかと思いまして」
「えっ」靖子は混乱した。この男は一体何をしゃべっているのだ。
「とりあえず」石神が抑えた声でいった。「今からそちらにお伺いしてもいいですか」
「えっ、いえ、それはあの、困ります」靖子の全身から冷や汗が吹き出した。
「花岡さん」石神が呼びかけてきた。「女性だけで死体を始末するのは無理ですよ」
靖子は声を失った。なぜこの男は知っているのだ。
聞こえたの
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