第17节(第1/6页)
た。
「もし今も見張られているのだとしたら、こんなふうにあたしと会っているところを見られたら、また何か疑われるんじゃないかな」
「平気だよ。今もいったように、僕は堂々としていたい。こそこそ隠れて会うほうが、よっぽど怪しまれる。そもそも、人目を気にする仲ではないはずだぜ」工藤は大胆さを表現するように、ゆったりとソファにもたれ、コーヒーカップを傾けた。
靖子もティーカップに指をかけた。
「そういってくれるのはうれしいけど、工藤さんに迷惑がかかっているのだとしたら、本当に申し訳ない。やっぱり、しばらくは会わないほうがいいのかなって思うんだけど」
「君のことだから、そんなふうにいうと思ったよ」工藤はカップを置き、身を乗り出してきた。「だからこそ、今日わざわざ来てもらったんだ。僕のところに刑事が来たことはいずれ君の耳にも入るだろうけど、その時になって、君が変に気を遣ってはいけないと思ってね。はっきりいっておくけど、僕のことは全然気にしなくていい。アリバイを訊かれたといったけど、幸い証明できそうな人もいる。いずれは刑事たちだって、僕には興味を示さなくなるよ」
「それならいいけど」
「それより心配なのは、やっぱり君のことなんだ」工藤はいった。「僕が共犯でないことはいずれわかるだろう。でも刑事たちは、君に対する疑惑は捨てていない。これからも何かとうるさくつきまとってくるのかと思うと憂鬱になる」
「それは仕方ない。だって、富樫があたしのことを探してたのは事実みたいだから」
「全く、あの男も、何を思って今さら君にまとわりつこうとしたのか。死んでもまだ君を苦しめるなんてなあ」工藤は渋面を作った。その後で改めて靖子を見た。「事件について、本当に君は何も関係していないよね。これは君を疑っているという意味じゃなくて、たとえわずかでも富樫と繋がりがあったのなら、僕にだけでも打ち明けておいてもらいたいんだけど」
靖子は工藤の端正な顔を見返した。彼が突然会いたいといってきた真意はここにあるのだなと思った。彼女に対する疑いを、全く抱いていないわけではないのだ。
靖子は微笑を作った。
「大丈夫よ。あたし、何の関係もないから」
「うん、そうとわかっていても、君の口からはっきりいってもらえると安心する」工藤は頷いてから腕時計を見た。「せっかくだから、食事でもどうだい うまい焼鳥屋を知っているんだけど」
「ごめんなさい。今夜は美里に何もいってないから」
「そうか。じゃあ、無理に誘うわけにはいかないな」工藤は伝票を手にして、立ち上がった。
「行こうか」
彼が支払いをしている間、靖子はもう一度ざっとあたりを見回した。刑事らしさ人間は見当たらない。
工藤には悪いが、彼に共犯の疑いがかかっている間は大丈夫だろう、と彼女は思った。つまり警察が真相とは程遠いところを調べていることになるからだ。
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