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は特に何の関係もないし」
「そうだよね。とりあえず、そのことだけ話しておこうと思って」
「わかった。わざわざありがとう」
靖子は電話を切った。胃がもたれるような感覚があった。軽い吐き気がする。
その感覚はアパートに帰るまで続いていた。途中、スーパーで買い物をしたのだが、何を選んだのか、自分でもよく覚えていなかった。
隣の部屋のドアが開閉される音がした時、石神はパソコンの前にいた。画面上には三枚の写真が映し出されていた。工藤を撮影した二枚と、靖子がホテルに入っていくところを掃った一枚だ。出来れば二人が一緒にいるところを撮りたかったが、今度こそ工藤に見つかりそうだったし、万一靖子に気づかれたりしたら面倒だと思い、自重しておいたのだ。
石神は最悪のケースを想定していた。その場合にはこれらの写真が役立つはずだが、無論、そのようなことは何としてでも避けたいと彼は思った。
石神は置き時計をちらりと見てから立ち上がった。午後八時近くになっていた。どうやら靖子が工藤と会っていたのは、さほど長い時間ではなかったようだ。そのことで安堵する気持ちがあることを、彼は自覚していた。
彼はテレホンカードをポケットに入れ、部屋を出た。いつものように夜道を歩いていく。自分を見張っている気配がないか、慎重に確認した。
草薙という刑事のことを思い出していた。彼の用件は、じつに奇妙だった。花岡靖子に関する質問をしながらも、湯川学について尋ねるのが主目的だったような気がした。彼等は一体どういうやりとりをしているのだろう。自分が疑われているのかどうか判断がつかず、石神としては次の手を打ちにくかった。
いつもの公衆電話で靖子の携帯電話にかけた。三度目の呼出音で、彼女は電話に出た。
「私です」石神はいった。「今、大丈夫ですか」
「はい」
「今日は何か変わったことがありましたか」
工藤と会って、どういう話をしたのか訊きたかったが、尋ねる言葉が見つからなかった。二人が会ったことを石神が知っていること自体、不自然なのだ。
「あの、じつは」そういったきり、彼女は躊躇ったように黙り込んだ。
「何ですか。何かあったんですか」工藤から、何かとんでもないことでも聞かされたのだろうか、と石神は思った。
「お店にべんてん亭に刑事が来たそうなんです。それで、あの、あなたのことを訊いていったそうです」
「私のことを どんなふうに」石神は唾を飲み込んだ。
「それが、ちょっと話がわかりにくいかもしれないんですけど、じつはうちの店の人が、前々から石神さんのことを噂してましてあの、石神さんはお怒りになるかもしれませんけど」
まどろっこしいな、と石神は苛立った。この人も数学は苦手に違いないと思った。
「怒りませんから、単刀直入におっしゃってください。どういう噂をされてたんですか」どうせ外見を馬鹿にしたような噂だ
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